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年金不信を増長する砂上の政府案
〜 一人歩きした年金給付水準=現役世代の50.2% 〜
政府の年金制度改正案は、現役世代の保険料負担を18.3%※(現在
13.58% )まで引き上げる一方、引退世代が受け取る年金水準は現役世代の手取り収入の50%(=所得代替率)を確保するという内容です。しかし、必要な年金水準をめぐる政府の説明は、'99年の改正時には「現役世代の60%の確保が適当」との目標を示し、今回は「50%でも大丈夫」と一貫していません。しかも“所得代替率50%”は、何の保証もない架空の数字といっても過言ではないのです。
※14年間に渡り、毎年0.354%ずつ引上げ
保険料率の上限固定と矛盾する所得代替率50%
政府は、現役世代の保険料負担増に歯止めをかけるため、保険料率の上限を18.3%に固定し、引退世代が受け取る年金水準は、少子化や高齢化の影響を加味したスライド率を導入することで、世代間格差に対する現役世代の不満解消を図ろうとしています。しかし、この仕組みでは、経済情勢や出生率の低下等により“所得代替率50%”を大きく割り込む可能性もあるため、結局、政府・与党は、法案の最後に「現役世代の収入の50%を上回るよう“給付水準を確保する”ものとする」という付則を付けました。将来、“所得代替率50%”を切る事態になれば、「保険料引上げ」、「給付水準引下げ」論議が必ずや再燃します。
政府・与党が自負する「100年間は持続可能な仕組み」とはこの程度のもので、「保険料抑制」と「給付水準維持」という二律背反を取り繕うためのつじつま合わせに終始したのが実態です。
年金給付水準=現役世代の50.2%(所得代替率)の意味するもの
政府が説明する所得代替率50.2%とは「夫は会社員で40年間勤務し続け、妻は企業勤務の経験がない専業主婦 」というモデル世帯の場合の数字です。モデル世帯以外の世帯では軒並み50%を大きく下回っており、政府・与党は、実態とかけ離れたモデル世帯の年金給付水準を声高に宣伝しているのです(表1)。
表1:世帯類型別の厚生年金給付水準=所得代替率(※)
| 世帯類型 |
2004年度(現行制度) |
2025年度(政府改正案) |
「モデル世帯」
夫40年加入、妻は40年間専業主婦 |
59.3%
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50.2
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夫40年加入、妻は出産後離職し、
その後専業主婦 |
56.1
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47.5
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| 夫婦とも40年間共働き |
46.4
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39.3
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| 男性独身で40年加入 |
42.5
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36.0
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※複数の異なった世帯類型でそれぞれどの程度の給付水準となるかについて見るときの指標。
各世帯類型に対応した現役世代の平均的手取り賃金に対する年金支給開始時の年金額の割合。
上記「モデル世帯」の場合は 所得代替率50.2%=(夫の厚生年金+妻の基礎年金)÷(現役男性厚生年金被保険者の平均的手取り賃金)
給付水準は、出生率の動向でも大きな影響を受けます。「モデル世帯の所得代替率50.2%」は、 2002年現在の合計特殊出生率※
“1.32”が、 2050年には“1.36”に改善することを前提にしていますが、坂口厚生労働大臣の答弁でも「これは努力次第」と認めています。少子化が加速すれば“1.10”にまで落ち込む可能性もあり、その場合、モデル世帯の所得代替率は、46.4%になると政府は説明しています。経済前提も数字を見ると想定どおりになるか甚だ疑問です(表2)。
※一人の女性が生涯に産む子供の数。2.08を下回ると人口は減少
このように「所得代替率50%」を大義名分とする政府の説明は、もはや通用しなくなっているのです。一定の出生率や経済成長の前提が狂えば50%の確保が困難になるからです。その場合、国会審議の中で「給付水準の引き下げ」、「保険料率の引き上げ」、「税金の投入」など財源をどのように賄うのか明らかにしていく必要があります。根拠もあいまいなままの「安心」を強調するより、制度を抜本的に見直さなければなりません。先送りは許されないのです。
表2:政府年金制度改正案の諸前提
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2000年度(実績)
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2050年度
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| 合計特殊出生率 |
1.36人
(2002年は1.32)
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1.39人※
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| 平均寿命 |
男 |
77.64年
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80.95
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| 女 |
84.62
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89.22
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| 経済前提 |
実質賃金上昇率 1.1% 、名目賃金上昇率 2.1% 、
物価上昇率 1.0% 、名目運用利回り 3.2% |
※ 「1.39」は中位推計。低位推計だと「1.10」に低下
(4月中旬記)
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