|
年金資金の無駄遣いを改めることが先決
国会審議の中で、グリーンピア問題に代表されるように年金給付以外にも年金資金が使われ、その額が5.6兆円もの巨額になることが明らかになりました(表1)。
国民に保険料負担増を強いる一方、年金制度の信頼を大きく損なう形で年金資金が使われてきました。
年金資金の給付以外への流用総額5.6兆円※
主な内訳 |
表1 |
|
| ● |
年金資金運用基金(旧年金福祉事業団)によるグリーンピア事業(大規模保養基地13ヶ所)と被保険者への住宅融資事業・・・・・・・2.2兆円 |
| ● |
年金相談事業、システム経費・・・・・・1.3兆円 |
| ● |
社会保険庁が公益法人に運営を委託している厚生年金会館など265ヶ所の年金福祉施設建設費・・・・1.5兆円 |
| ● |
年金保険料を職員宿舎建設などに充てることを認めた年金事務費(財政構造改革法により、98年度からの特例措置に基づく)・・・・・・・・・・・・・0.4兆円など |
| |
【年金事務費の主な内容】
職員宿舎の建設費、公用車の購入費と運転手人件費、
社会保険庁長官の交際費、職員の外国旅費 |
| ※ |
3月3日衆院予算委員会: 坂口厚生労働大臣及び政府答弁、昭和20年〜平成13年度累計
|
|
年金資金の運用や流用による損失は巨額
厚生労働省が所管する公的年金の積立金は146兆円※1にもなります。積立金の目的について「積立金の運用収入を年金給付に充てることにより保険料を軽減するため必要」と説明していますが、その運用内容は「保険料軽減」とは逆行するものです。
(※1)2002年度末、厚生年金(厚生年金基金代行分を除く)と国民年金の合計
「資金運用事業」では、112兆円を預託している財政融資資金の貸し出し先の特殊法人などで、不良債権化している可能性が指摘されています。また、厚生労働省が自主運用する34兆円については、約6兆円の累積損失※2が発生しています。
(※2)2002年度末、2003年4〜12月は3.5兆円の黒字
「大規模年金保養基地事業」では、特殊法人「年金資金運用基金」がグリーンピア(全国13カ所)の建設・運営に約3700億円を投入してきました。ずさんな計画・運営だったため'05年度までにすべて売却・廃止が決まりました。病院や会館、スポーツセンターなどの福祉施設の建設も265ヵ所、累計で1兆5000億円にも上りますが、ほとんどは、赤字運営です。
さらに問題なのは、施設の運営が厚生労働省関連の特殊法人や5つの公益法人を中心に委託され、そこが天下り先となっていることです。しかも積立金を食いつぶした責任は誰も取っていません。
また、政府は'98年度以降、一般会計の歳出を減らすため、一般会計(税金)から支出していた年金事務費を年金保険料で賄うように付け替えを行ないました。「事務費」という名目のもとに解釈を拡大し、社会保険庁の職員用宿舎の建設や公用車の購入、職員の健康診断費用や海外出張旅費、さらには長官の交際費など、'98年度〜'03年度までに年金保険料から4000億円以上が年金給付以外に流用されてきました。
国民に負担を強いる前に無駄遣いをなくすべき
保険料の負担増を強いる前に年金資金の無駄遣いを起こさせない仕組に改めることが先決です。まず、一刻も早く、年金給付以外には年金資金を使わせないという原則を確立し、天下り先ともなっている必要性の乏しい公益法人も早急に廃止すべきです。官僚の無駄遣い体質を改めない限り、年金制度への信頼回復はありえません。
また、'08年度末までに財政融資資金に預託している110兆円を超える年金積立金が全額厚生労働省に返還されます。その場合、積立金を毀損させてきた厚生労働省に150兆円もの巨額の運用を任せるべきか否か充分議論する必要があります。
(3月中旬記)
|