国民年金空洞化のつけはサラリーマンが負担

 自営業者や20歳以上の学生等が加入する「国民年金」の未納・免除者は、4割、900万人にも上る一方、国民年金の空洞化問題解決の道筋は今回の政府・与党の年金制度改革案ではほとんど示されていません。国民年金空洞化のつけは、保険料を天引き徴収されている厚生年金や共済年金等の給与所得者が負担させられているのが実態です。このような不公平な仕組みを放置し続けることは容認できません。

*民間サラリーマンは「厚生年金」、公務員等は各「共済年金」に加入


各年金制度の拠出金で賄われる基礎年金拠出金制度

 基礎年金は、全国民共通の公的年金として、自営業者だけではなく、勤労者も報酬比例部分(2階部分)の土台をなす1階部分として加入しています。基礎年金給付に要する費用は、14.3兆円(2001年度、特別国庫負担を除く)で、国民年金、厚生年金、共済年金の各制度からの拠出金で賄われます。各制度が負担する拠出金額は、まず、各制度の拠出金算定対象者数を求めます。厚生年金制度の場合、被保険者(民間サラリーマン)と専業主婦を合わせた4,036万人が拠出金算定対象者数となります。共済年金制度も同様の方法で677万人となっています。一方、国民年金制度の拠出金対象者は、2,127万人の被保険者から保険料未納者および免除者を除いた1,213万人となります。各制度からの拠出額は、この拠出金算定対象者数で按分して算出されます。

サラリーマン・勤労者は6000億円の過重な負担
 その結果、各制度からの基礎年金拠出金は、国民年金2.93兆円、厚生年金9.76兆円、共済年金1.64兆円となりますが、国民年金の拠出金対象者数を本来払うべき未納者数を入れて再計算すると327万人増え、1,540万人となるので、各制度からの拠出金は、国民年金3.53兆円(6000億円の増)、厚生年金9.25兆円(5100億円の減)、共済年金1.55兆円(850億円の減)となり、厚生年金制度で毎年5100億円、一人当たり年額8000円強の過重な負担増となっています。このように現行の仕組では、国民年金被保険者の保険料不払いで不足する分をサラリーマン等の給与所得者から安易にその穴埋めをさせることで取り繕っているのです。
 空洞化問題を放置したままでは、保険料の負担増と給付水準の引下げを毎年続ける政府・与党案は到底理解が得られません。私は、国民年金、厚生年金、共済年金と現在バラバラになっている年金制度を一本化し、基礎年金(1階部分)は財源を全て税で賄い、将来的には、消費税の充当も必要だと考えています。同時に最低限の年金を保証し、低所得者に負担の重い定額保険料(月額13,300円)を廃止することで、年金の空洞化問題を解消することができるのです。

*現在、国庫負担は、1/3。平成21年度までに1/2への引上げを予定


現行(平成13年度)

総計
国民年金
厚生年金
共済組合
基礎年金拠出金(兆円)
 14.33
2.93
9.76
1.64
拠出金算定対象者数(万人)
5,926
1,213
4,036
677
拠出金按分率
1.000
0.205
0.681
0.114
一人当り基礎年金相当分保険料(年額:千円)
161.2
・平成13年度事業年報(社会保険庁)より作成
・基礎年金拠出金のうち、1/3は国庫負担、2/3が保険料負担

国民年金未納者(327万人)が払った場合
 
総計
国民年金
厚生年金
共済組合
基礎年金拠出金(兆円)
 14.33
3.53
(+0.6)
9.25
(▲0.51)
1.55
(▲0.09)
拠出金算定対象者数(万人)
6,253
1,540
4,036
677
拠出金按分率
1.000
0.246
0.645
0.108
一人当り基礎年金相当分保険料(年額:千円)
152.7


国民年金被保険者状況(平成13年度末)

総計(万人)

保険料納付者
  未納者
  免除者
学生納付特例者
2,127
 1,213
327
376
148
平成14年国民年金被保険者実態調査結果の概要(社会保険庁)


(2月中旬記)