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イラクへの自衛隊派遣について考える
戦後初めて、戦闘状態が継続中の外国の領土に自衛隊が派遣され、日本の安全保障政策は重大な転換点を迎えようとしています。この通常国会序盤は、自衛隊派遣が大きな論点の一つとなります。
正当防衛と武力行使、戦闘地域と非戦闘地域
憲法9条では、「国権の発動たる戦争、武力行使を放棄する」としています。政府は、「正当防衛のための武器使用は問題ない」との見解ですが、仮にテロによる襲撃を受け、自衛隊が本格的に反撃した場合、「正当防衛のための武器使用」と「武力行使」との線引きは、状況によっては難しくなります。さらに、「イラク復興支援特別措置法(イラク特措法)」では、戦闘地域と非戦闘地域を区分していますが、テロが頻発している現状では、地理的な仕切りの概念は、ほとんど意味を持たず、自衛隊の活動地域(非戦闘地域)が戦闘地域にならない保証はありません。また、世界の軍事常識に立って考えれば、武器使用基準は必ずしも現実的なものとはなっていません。自衛隊員の安全確保の観点から、テロリストの襲撃にも柔軟に対応できる武器使用基準が求められます。
任務の完了
自衛隊を派遣することと同じぐらい重要なことは、「どういう状況」になれば自衛隊の任務を完了とするのかを明確にしておくことです。特に、今回は陸上自衛隊を派遣するだけに重要なポイントとなります。引き際を見誤ると泥沼にのめり込んでしまうことは、過去の戦争が証明しているとおりです。政府は、「現地の情勢を総合的に踏まえて判断する」としていますが、もっと国会でその中身の議論を深める必要があります。
復興支援のあり方
現段階でイラクの復興をどのように支援していくかは、正直なところ、難題です。憲法との関係や自衛隊が、「米英軍と同様の占領軍の一部」として見られ、中東と友好的な関係にある日本に対する見方が変わる懸念がある一方、対米関係も充分考慮する必要があるからです。自衛隊の派遣については、フランス・ドイツや周辺諸国の積極的な関与を含め、国際社会が一致して協調できるイラク復興に向けた国連安保理決議が採択され、イラク国民による新たな政府の要請があれば、憲法の枠組みの中で検討すべきです。また、治安回復に向け、民主的な警察制度の導入支援として、わが国の警察が協力し、交番システムをはじめとしたガイダンスやトレーニングを施すことも有効です。いずれにしても米英主導の暫定統治機構(CPA)からイラク人による政府樹立に向け、わが国も国連・米英・イラクの三者の連携を強化すべく積極的に働きかけていく必要があります。
(1月下旬記)
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