「自動車リサイクル法成立へ」

今、国会では、有事法制、郵政関連法案などのいわゆる重要4法案のゆくえに関心が集まっている。その陰に隠れて目立たないが、自動車ユーザーや自動車関連業界に深く関係する法案の審議も進んでいる。最後の大物リサイクル法といわれる「自動車リサイクル法案」である。衆議院での審議が終わり、今後参議院での審議を経て今国会で成立する見込である。施行は、2年後の2004年末頃をめどとしている。
使用済み自動車から排出され、再資源化が難しくコストもかかる、シュレッダーダスト(破砕くず)、フロンガス、エアバッグについて、自動車メーカーに回収・再資源化を義務付けるものであり、その費用は、自動車ユーザーが新車購入時(既販車は車検時)に負担するというものである。
この法整備によって、再資源化の難しい3品目の処理費用が確保されることで、その適正処理が担保され、あわせて解体事業者やシュレッダー事業者による中古部品や鉄の回収・転売という既存の自動車リサイクル体系の健全な機能回復が図られることで、野積車両や不法投棄車両の削減が期待できる。
また、環境ビジネスの発展やリサイクル技術の革新も期待できる。とりわけ、シュレッダーダストの減量化処理のための「熱分解ガス化溶融処理技術」の商業化の加速が見込まれる。この分野の技術は欧米に比べ我が国が先行しており、世界からも注目されている。
さらに、今回のリサイクル法の施行に合わせて、自動車重量税の還付制度も創設される。本来、車検期間を残して廃車されれば、車検残存期間相当分の税は還付することが当然であり、長年にわたり要望されてきたものである。税の還付がインセンティブとなって不法投棄も減少する。
一方で、懸念される点もある。それは、処理費用を管理する「資金管理法人」の運営である。1兆円を超える資金を管理することになり、官僚の天下り先になったり、無駄な事業をしないようしっかりとした歯止めがぜひとも必要である。
また、今回の法案のスキームには含まれていないが、総合的なリサイクルシステムを構築していくために、今後検討していかなければならない多くの課題も残されている。
一つは、自動車の補修過程で排出されるタイヤやバッテリーなどのリサイクルの仕組みをどう構築していくか、である。
二つ目には、自動車メーカーの積極的な取り組み姿勢である。これまで以上に解体およびリサイクルし易い製品づくりが求められる。また、有害物質の使用も、欧州が法律で禁止する方向であるのに対し、我が国では自主規制であり、それへの積極的な姿勢も求められる。
さらに、総合的なユーザー負担の軽減策である。処理費用は、家電と同様に消費者負担となったが、現在でもユーザーは、自動車関係諸税で過大な負担を強いられている。今後の税制改正論議の中で、消費税と二重課税となっている取得税の撤廃なども含め、総合的な見地からユーザー負担の軽減を求めたい。
いずれにしても今回、自動車のリサイクルシステムが法的枠組みによって整備される意義は大きい。引き続き、残された課題を解決し、我が国が、名実ともに世界をリードするリサイクル国家になることを期待したい。

※日刊自動車新聞「直さんの永田町Wクリック」
(6月8日掲載)