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NGO参加拒否で露呈した政治体質
小泉政権にとって初めての通常国会が召集された。我が国経済は既にデフレスパイラルに陥っているとの見方もあり、また金融危機もささやかれる中、平成14年度予算や関連施策で本当
に危機回避できるのか、また、道路四公団改革の「第三者機関」設置、医療制度改革などの中身が、本当に「改革」と言える ものなのか、大いに議論させてもらいたいと思っている。しかし、開会早々、アフガニスタン復興支援会議へのNGOの
参加にからんで、一人の与党議員の横車と、それにおもねる外務省の問題が表面化し、国民の政治不信を募らせる結果になっ ている。この与党議員は、副大臣や政務官として政権入りしているわけではなく、したがって外務省の政策を左右する何の法
的権限も持っていない。にもかかわらず、与党と省庁との間の長年にわたる持ちつ持たれつの関係から、外務省の代弁者になる見返りに、その政策に頻繁に介入を繰り返し自分に都合の良い政策を押し付けてきた。このように影響力を強めていくことで、政府開発援助(ODA)予算の使い道までも、意のままにし自らの利権拡大を図ってきたとも言われている。政府開発援助(ODA)予算は、約9000億円(平成14年度予算案)もあり、その中からNGOへの活動支援も行われている。それゆえ、そのNGOを呼びつけ「アフガン会議ではNGOには一銭も金はやらんからな」などと、予算の執行権限を自分が握っ
ているかのような傍若無人な振る舞いをしたことが、NGO代表の記者会見等で明らかにされた。
これは、まさに我が国の政策決定システムの構造的欠陥に起因する問題と言わざるを得ない。なんら権限のない「与党」が「内閣(政府)」の政策を事前に審査・修正するという権力
の二重構造があるため、このような利益誘導政治が横行しているのだ。「改革」を本当に進めるには、族議員の介入を抑える とともに官僚支配を断ち切り、内閣への政策決定の一元化を図るしかないことが改めて明確になった。
「古い自民党を壊すことを恐れない」と言って登場した小泉首相であるが、利権に群がる旧態依然とした体質の改革は一向に進んでいない。また、今回の問題に関連して「各省庁とも、力のある議員が言ってきても正しくないと思ったら拒否できるようにする」とも表明した。しかし、言葉だけではなく具体的な制度化を図るべきだ。例えば、与党による「事前審査制」を廃止すること、議員と官僚の接触のありかたについての法整備を進めることなどだ。それが
できなければ、結局、族議員と官僚が手を組んで牛耳る構図を打ち破ることはできず、「改革」は頓挫することは目に見えている。
今回、田中外相は、出席を拒否されたNGOを参加させるよう 指示したし、与党議員と外務省の癒着を明らかにしようともした。この点では更迭される致命的な理由はない。この直後の世論調査で、内閣支持率が急落したのは、国民が、旧態依然とした政治体質の改革に乗り出そうとしない小泉首相の限界を感じ
始めた証左であろう。ひょっとすると、国民人気に支えられてきた小泉内閣にとって、潮の変り目となる可能性も感じさせる状況である。
※日刊自動車新聞「直さんの永田町Wクリック」
(2月9日掲載)
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