政策決定の一元化を

 謹んで新年のお祝詞を申し上げます。旧年中のご厚情に感謝申し上げますとともに、本年もよろしくお願い申し上げます。
 さて、昨年の我が国は、小泉首相の登場で「改革」への国民の期待は高まったものの、結局、具体的成果 は出ず、景気も暮らしもますます深刻さが増しただけであった。 この状況を乗り越え、我が国が再生するためには、まさに政治がリーダーシップとスピード感を持って「改革」を断行していくしかない。しかし、日本型の政策決定システムがそれを阻み、国民の期待通 りの内容とスピードで改革が進んでいかないことも明らかになってきた。
 その日本型の政策決定システムとは、「内閣(政府)」と「与党」による二元統治体制のことであり、それも「党高政低」と言われるように、法的にはなんら権限のない「与党」が、「内閣」の政策決定に介入し、事前に審査・修正するという仕組みである。これが、政策決定の権限もなく責任も問われない族議員が、自分達に都合の良い政策を押し付ける利益誘導政治を生み出し、佐川やKSD事件などの政治腐敗の温床になってきた。また、本来国会で行われるべき政策決定が、その外で行われているため、政策決定に至る議論の過程が不透明でわかりにくいし、与党にとっては、国会審議は法案を通 すための儀式の場と化している。
 この与党優位の仕組みは、自民党一党支配体制のもとで、政権を維持していくために作り出された日本独特の極めて特異な仕組みであり、議院内閣制という政治システムの原理とは、かけ離れたものであることを指摘しておきたい。同じ議院内閣制をとっている英国では、与党の幹部は首相及び主要閣僚として内閣を構成しており、政策決定権限とその責任は全て内閣に一元化されている。政策決定に不当な介入をする与党組織も与党審査という手続きも存在しない。また、ドイツでも、政府提案の法案は内閣の責任で提出され、提出前に与党が審査することはない。与党と内閣の折衝は、あくまで議会審議の中で行われている。
 今年は、有事法制など我が国のあり方の根幹に関わる議論が政治日程に上ってくることも考えられるが、その方向性が、「与党」によって、簡単に歪められるようなことになれば、この国の将来は危うい。民主党は、以前からその政権構想の中で、英国型の政府運営を目指すべきであると主張してきた。それは単なる内閣と与党との関係の見直しに留まらず、十分機能しているとはいい難い副大臣制のあり方、縦割りの弊害が続く省庁のあり方等も含めた全体の見直しを意味する。
 政治が、国民の理解と納得を得られる政策を迅速に実行していくためには、権力機構化した与党のあり方を見直し、内閣への政策決定の一元化を図るしかない。それによって、政府(内閣)が国民に対して責任を果 たすことになり、国民も政権党の政治を評価し、選挙において政権を選択できることになる。まさに、議院内閣制の本来の姿を取り戻すことができるのである。

※日刊自動車新聞「直さんの永田町Wクリック」
(1月12日掲載)