公団改革と道路特定財源

 
日本道路公団など道路関係4公団改革の政府方針が決まった。民営化後の新たな組織形態と今後の高速道路建設のスキームが示されることを期待していたが、決まったことといえば、4公団を平成17年度までに民営化するという方向性だけである。一方で、日本道路公団への3000億円前後の国費投入中止だけは、来年度から先行して実施するという。
 我が国における高速道路事業の将来展望を全く提示しないまま、財政の観点のみの価値判断で国費投入を中止するというやり方は、本末転倒と言わざるを得ない。
 また、これまでの議論では、高速料金や道路特定財源で高速道路事業を支えている自動車ユーザーの負担に関する視点も全く欠落している。
 まず、日本道路公団以外の3公団へも多額の国費が投入されているということである。これは、もともと自動車ユーザーが納めた道路特定財源である。出資金及び貸付金という形で、本年度は、首都高速道路公団へ約500億円、阪神高速道路公団へ約200億円、さらに本州四国連絡橋公団へは、本年度から借金返済のための800億円の無利子貸付が加わり、投入額は約1300億円にも達している。 政府方針では、これらの財源投入の見直しは議論にもならず、本州四国連絡橋公団に至っては、その債務処理のために、さらに巨額の道路特定財源を投入しようとしている。失政の結果 生じた赤字の穴埋めのために目的税を使うことは納得できない。
 また、政府方針には、民営化会社では建設しないと決定された路線も、直轄方式つまり道路特定財源で建設するという抜け道が用意されている。どうしようもない不採算路線も、最後は道路特定財源で建設ということになれば、まさに税金の無駄 遣い以外の何ものでもない。
 さらに、日本道路公団への投入を中止する3000億円前後の道路特定財源のゆくえも全く議論されていない。日本道路公団に投入しないのなら、他の道路整備、例えば都市部の環状道路整備などに充当すべきであり、そうでないのであれば、自動車ユーザーに還元(減税)するのが筋である。 しかしながら、政府では道路特定財源の一般財源化が検討されており、さしあたり7000億円弱の財源がある自動車重量 税の一般財源化の動きも強まっている。自動車重量税は、法的には一般財源であるため法律改正をしなくても、政府の決定だけで道路以外に使うことが可能である。この理屈で、自動車重量 税の範囲内に収まる日本道路公団への投入額を、なし崩し的に一般財源化されかねない。
 こうして見ると、今回の道路4公団改革に関する議論は、単なる財政対策の視点から特殊法人への国費支出を削りたい小泉首相と高速道路建設を死守したい勢力との間での道路特定財源のぶんどり合戦としか言えない。小泉首相は、道路特定財源の過重・複雑な税体系及びその使途のあり方の見直しも含めた道路政策の具体的方針を国民に提示すべきである。それが、納税者である自動車ユーザーに対する責務である。

日刊自動車新聞「直さんの永田町Wクリック」
(12月8日掲載)