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消費者不在の狂牛病対策
危機管理能力が欠如している政府の対応
どたばたの中の安全宣言
10月18日から食肉処理するすべての牛に対する狂牛病検査が始まりました。これを受け、坂口厚労相と武部農相は、事実上の安全宣言をしました。
政府の公式見解では、脳や目、せき髄などの危険部位を取り除けば、牛肉や牛乳、乳製品は安全とのことですが、問題が残されたままの安全宣言と言わざるを得ません。一つは、18日以前の検査を受けていない牛肉の一定期間の調整保管策についてです。市場に流通
させるのか、また流通させた場合の消費者への情報開示をどうするのかは不明確なままです。もう一つは、依然として感染ルートが解明されていない点です。いずれの問題に対しても消費者に納得のいく説明が必要です。
今回の安全宣言は、風評被害の鎮静化を狙い出されたものですが、生産・流通 業界を重視するあまり、“安全宣言”を急ぎすぎたとの批判もあります。もちろん、風評被害で生産・流通
業界が不利益を被ることは望ましくはありませんが、一方で、消費者が抱いている狂牛病への不安と、隠蔽と無策を重ねてきた行政に対する大きな不信感を払拭することがより重要視されなくてはなりません。
危機管理能力が問われる
そもそも96年に英国で狂牛病が人にも感染することが確認され、当時、参院の予算委員会でもこの問題が指摘されていたにもかかわらず、日本政府の対応は、あまりにもおざなりでした。
農水省は、欧州での狂牛病問題を対岸の火事と見ていたようで、感染源と疑われる肉骨粉への対応も、狂牛病の発生が確認された今年の9月にようやく牛等の反芻動物由来の飼料使用禁止措置をとるというありさまでした。狂牛病発生リスクが最も低いと評価されているオーストラリアでさえ、既に4年前に禁止措置をとっているのです。
また、農水省は、EUによる日本の狂牛病危険度評価のための調査協力を拒否し、今年6月半ばの時点でさえも農水事務次官は、「日本は安全」と豪語していましたが、その責任は問われていません。ドイツでは、対応の遅れの責任をとって2閣僚(農相、保健省)が辞任し、さらに農務省を消費者保護・食料・農業省に改編しました。
政府は、二度とこのような事態が起こらないよう、この問題を総括し、大臣や幹部の責任を明確にするとともに、消費者本位 の視点から組織のあり方を再点検すべきだと思います。国民が安心できる「食のシステム」を作ることが、結果
として、生産者の利益にもつながるのです。平時から危機管理体制とその対策を準備しておくことが求められます。
(10月下旬記)
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