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「ネギ・シイタケ・畳表」と国益
ネギ、生シイタケ、畳表の輸入に対する「暫定的セーフガード」の発動期間が終了する11月8日まで、ちょうど2ヶ月となった。日本政府の予想に反して中国側の姿勢は強硬で、逆に、日本製の自動車、携帯電話、エアコンへの100%の特別
関税という報復措置を招いてしまった。日中間の協議は、首相の靖国神社参拝、歴史教科書等の政治問題もあって、再開の目処も立っていない。
もともと、今回の措置は、農産物3品目の産地を抱える農林族議員が、政治的圧力をかけてとらせた措置という色彩 が強い。
その結果は、単に中国に我慢を強いるだけではなく、日本仕様の作物を中国で栽培して輸入する「開発輸入方式」を作り上げてきた日本のスーパーや商社の利益を奪い、消費者からも、安価な野菜を手にすることを奪った。
さらに、中国の報復措置によって、何の関係もない輸出産業にも被害が及んでいる。単純計算だが、昨年の、該当農産物3品目の中国からの輸入金額が237億円であるのに対し、報復措置3品目の中国への輸出額は666億円(このうち531億円が自動車)であることから、わが国にとっては、デメリットの方が大きいことは明らかである。報復措置の100%特別
関税は、自動車でいえば、もう1台分の本体価格が税金として上乗せになるということであり、完全に価格競争力を失う。最近はドイツ車や韓国車が急速に販売台数を伸ばしているという。エアコンや携帯電話のメーカーでは、現地生産に切り替えるという。
今回の報復措置によって、当面の損失以外にも将来の損失も懸念されるし、現地生産の加速によって雇用の場も縮小する可能性がある。
中国からの輸入急増で苦境に立たされているのは、農業だけではない。製造業を中心とした中小企業や地場産業も同様であり、これらの産業は、これまでも円高や安価なアジア製品に対して、必死に競争力強化に取り組んできた。
その一方で、農水省は、輸入野菜急増に対する「構造改革対策」と称して、手厚い保護をしようとしている。来年度予算の概算要求で、野菜・いぐさの産地への助成費を新規に90億円要求した。これで、機械化への資金援助などをするという。また、野菜価格が急落した場合に生産者に支給する補給金も、適用の地域や対象を拡大するために、本年度の3.5倍の165億円を要求している。来年度の野菜産地対策予算要求は、総額で約400億円にも達する。
これらは、補助金漬けの保護策が中心であり、従来の施策となんら変わらない。いわば、見せかけの「構造改革」である。それを前提にして、セーフガードを本格発動するとすれば、旧態依然とした農業構造の温存を助長する結果
に終わるだけである。さらに、我が国が、これまで努力して推進してきた自由貿易体制づくりが水泡に帰してしまうおそれや、国際社会からの信用も失うことになりかねない。
貿易立国の我が国にとって、自由貿易体制の維持・拡大は、経済上の最大の国益である。一部の農産物のためにそれを失うような愚策は断じてとるべきではない。
日刊自動車新聞「直さんの永田町Wクリック」
(9月8日掲載)
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