「高級メニューは並んでいるが・・・」

 経済財政諮問会議がまとめた「経済・財政運営の基本方針」は、閣議決定され政府全体として取り組む政策に位置付けられた。
 全体から受ける印象は、「高級料理が並ぶメニューを見ていろいろ注文したが、料理の中身や出てくる順番がまったくわからない」といったところだろうか。確かに、メニューとしては、過去に与党や省庁に骨抜きにされてきた多くの重たい課題が盛り込まれた。しかし、問題は、それらが総花的に並べられているだけで、具体性に乏しい項目が多く、優先順位や目標値が示されている項目もわずかなことだ。実際、決定過程で、道路特定財源、医療制度改革、国と地方の財政改革などは、族議員や省庁の抵抗で内容があいまいになった。
 参院選後に本格化する来年度予算編成の過程で、これら抵抗勢力の動きが再び活発化することは確実であり、まさにこれからが正念場である。すでに、自民党内からは「来年度予算の編成は、この基本方針には縛られない」とか、「法律を成立させる権限を持つ我々に十分相談せずに決めたのは問題」との声もあがっている。また、今後この基本方針に沿った政策立案を進めなければならない各省庁も、省益に反する政策の具体化を迫られれば激しく抵抗することは確実である。
 個々の中身についても指摘したいことはたくさんあるが、ここでは道路特定財源の見直し問題を取り上げたい。
 見直しにあたっての大原則は、納税者である自動車ユーザーの理解と納得である。納税者の意見は、日本自動車連盟(JAF)が6月上旬に実施したアンケートに端的に表れている。自動車関係諸税は「複雑で分かりにくい」「高い」と、大きな不満をもっている人が8割を超え、また、道路特定財源制度は否定しないが「道路整備は十分であり減税すべき」という意見が5割を超えている。さらに、財源を「道路整備以外に広く使ってもいい」という一般財源化容認派はわずか1割しかいない。これが納税者の正直な気持ちである。
 「基本方針」では、『道路等の特定財源について税収の使途を特定することは財政の硬直化を招くことから、そのあり方を見直す』としているだけで、具体的な中身には全く触れていないが、同じ「基本方針」の中で、税制改革については、『公平・中立・簡素を税制改革の指針としなければならない』と明記している。小泉首相も、「(一般財源化は)来年度は無理。(暫定税率の)減税の話もあるので議論して決めないと。議論する前に全部一般財源化というのは無理だ」と述べている。「基本方針」や首相の発言を素直に解釈すれば、複雑で過重な自動車関係諸税の見直しと道路特定財源制度の見直しは当然セットで議論されなければおかしい。
 その他の項目についても、早急に具体的内容を国民に提示する必要があるが、どうも、具体論は参院選後に先送りされるようである。このような不完全な「基本方針」が、参院選で宣伝ペーパーに使われ、似非改革派(抵抗勢力)の勢力が拡大してしまうという結果だけは避けたいものだ。

日刊自動車新聞「直さんの永田町Wクリック」
(7月7日掲載)