道路特定財源見直しは納税者の視点で

 道路特定財源の使途見直し論が、小泉総理の掲げる構造改革のシンボル的取り扱いを受けている。
 道路特定財源制度については、以前から、「非効率な道路整備がなされているのではないか」、「予算配分の硬直化を招いているのではないか」との指摘がある。また、その税金は、数が多く複雑な上、高率な暫定税率が課せられており、加えて、自動車購入時には消費税と取得税が二重課税され、ガソリンには揮発油税と地方道路税を課した額にさらに消費税が課税されるなど、税制上の問題も放置されたままになっている。抜本的な見直し論議は大いに歓迎すべきことである。
 しかし、今回の議論は使途拡大や一般財源化といった、財源を使う側の論理だけが先行しており、道路整備の在り方や税制上の問題点をどう解決するのかといった本質的な議論が全く欠落している。そうなった理由は、今回の議論の狙いが、道路予算配分で既得権益を持つ特定の派閥の力を削ぐためであり、また、財務省も、この騒ぎに便乗して財源の“つまみ喰い”だけをしようとしているからである。公共事業予算の硬直化を是正し、族議員の既得権益をなくすというのなら、一般財源化ではなく、納税者に返せば解決する。また、税制上の問題点を放置したまま、財政事情が苦しいから一般財源化するという論理も御都合主義である。
 道路特定財源の規模は、国と地方の合計で約6兆円弱と大きいため、過去たびたび他の使途への転用論が浮上した。これが一般財源となれば今後、多額の税金投入が必要になる社会保障や環境対策の財源議論のなかで、消費税率アップの反発を回避するために、「取り易いところから取る」という発想で、自動車への安易な増税が繰り返されかねない。
 一方で、自動車は社会的影響が大きいのだから、その税は社会全般のために使われるのは当然、との議論もある。しかし、現在でも国の道路特定財源の約2割は、周辺の事業に使われている。区画整理・市街地再開発に1736億円、電線地中化に1154億円、宅地開発・まちづくり事業に878億円、鉄道の高架化に664億円、駅前広場等の整備に321億円、モノレール等に133億円−といった具合だ。また、電話線や電線、ガス管、水道管、下水道管も道路を利用して張り巡らされており、道路特定財源は既に社会全般の目的に使われているといえる。
 本来あるべき見直しの手順は、道路整備について、“聖域なき”見直しで、事業範囲の明確化、無駄な事業の徹底的な排除、談合や族議員の圧力の徹底的な排除などをした上で、財源議論を行うのが筋道だ。そこで、財源に余剰が生じるのであれば、税率を下げるとか、税制上の問題を解決するというのが道理である。過重な負担をして納めてもらった税金を “派閥争い”や“つまみ喰い”に使うようなことは絶対やるべきではない。
 せっかく、見直しのチャンスができたのだから、この際、道路特定財源制度が抱えている問題を徹底的に掘り下げ、抜本改革に結び付けるべきだ。それが、小泉総理の言う「聖域なき構造改革」というものではないのか。

日刊自動車新聞「直さんの永田町Wクリック」
(6月2日掲載)