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ほんとうに改革断行内閣か
「改革断行内閣」と称する小泉政権が誕生した。内閣支持率は、異常に高い。しかし、これは、小泉純一郎首相の政策や政治理念が卓越しているからではなく、派閥の論理によらない総裁・総理だから、今の閉塞感を打破してくれるのではという気持ちが込められた「人気先行」の側面が強い。
ただ、小泉総裁・総理は、党三役人事と閣僚人事では、歴代の自民党総裁・総理とは違う人事は行ったし、「構造改革なくして景気回復なし」とのスタンスも間違ってはいない。小泉首相がほんとうに、“一身を投げ出して”改革を断行するのなら、それに協力する用意はある。
しかし、気になるのは、小泉首相の過去の言動を見る限り、具体論を詰めずに大枠の原則論でよしとする体質が目につくことだ。今回も、多数派を形成し協力を得るために、大枠の合意だけで、あとは妥協とぼやかしをする“小泉体質”が随所に見られる。
“小泉体質”は、まず、党内協議で表れた。総裁選で、景気刺激策最優先を掲げていた亀井氏との政策協議は、議論することもなく「緊急経済対策の速やかな実行」で片付けてしまった。次に、連立の枠組みについても、当初は見直し発言をしていたにもかかわらず、公明、保守との連立協議は、はじめから「連立ありき」で、政策合意は、相違点を棚上げして、とりあえず合意できる大枠の総論に終わっている。
さらに、閣僚人事も、民間人と女性を多く登用することで、斬新さを印象付けておいて、自公保連立政権の色彩や自民党色を薄めようとしている。事実、公明、保守両党の閣僚は留任しており、また橋本派を外した枠で田中氏、塩川氏を入閣させるなど総裁選での論功行賞とも言える人事を行った。
さて、国民の最大の関心事は、どのような政策を遂行してくれるかだが、ここでも、「聖域なき構造改革」というスローガンはあるが、具体的な政策が見えないという“小泉体質”が表れている。
経済運営では、森政権がまとめた「緊急経済対策」の速やかな実行といっているが、丸呑みでは従来路線の継承ではないか。財政構造改革では、「歳出の徹底した見直し」としているが、何をどの程度見直すのか不明である。また、社会保障については、厚相を3期務め、医療制度の抜本改革の約束と引き換えに、医療費の本人負担増を押し付けた張本人であるにもかかわらず、具体的改革案への言及はない。さらに、経済構造改革は失業増加という痛みを伴うが、これまで、雇用対策への言及は少なく、所信表明でも抽象論で終わっている。
冷静に見てみると、小泉首相は、専ら原則論を声高に主張しているだけであり、国民の不安解消につながる具体的青写真はなかなか見えてこない。
このような“小泉体質”では、抱え込んだ矛盾がいつ爆発するかわからないし、また、爆発を避けるために多くの政策が先送りされる可能性も危惧される。ほんとうに「改革断行内閣」なのかどうか、国会審議の中で明らかにしていきたい。
日刊自動車新聞「直さんの永田町Wクリック」
(5月12日掲載)
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