「政治構造改革」で政治復権

 1月31日に召集された通常国会は、早1ヶ月が経過した。森内閣は、この間、KSD疑惑をはじめ、次から次へと発生する問題に、真剣に取り組むどころか、のらりくらりと逃げの姿勢を取り続けてきた。結果、森内閣の支持率は、軒並み1ケタ台となり、国民の政治への信頼は地に落ちた。森首相辞任の噂がでると、株価が上昇するという皮肉な現象も起きている。また、先月22日には、株価が一時、バブル崩壊後の最安値を割り込み、さらに同日、アメリカの格付け会社のS&Pが、日本の国債について、「財政の硬直性が増した。政治の消極的姿勢が構造改革を大幅に遅らせている」として、その格下げを決めた。主要7カ国で最高格付けを外れたのはイタリアと日本だけだ。政府・与党の無責任体質のお陰で、日本の地位も失墜してしまった。
 このような中、与党幹部は、景気回復のためと称して盛んに予算案の審議最優先を言うが、本音は“森おろし”のタイミングを計ることと、KSDなどの疑惑隠しでしかない。危機的な財政状況も省みない、構造改革なきバラマキ予算で景気回復するはずがないことは、株式市場や国際社会の反応をみれば明らかである。
 さらに、向こう3年間の財政見通しを示す「財政の中期展望」を見ても、年々深刻さを増す財政の危機的状況に恐ろしくなる。経済成長率を2%と置いているにもかかわらず、税収は、3年後に平成13年度に比べ6000億円増えるだけであり、これに対して歳出は、3年後には10兆5000億円も増える、との見通しなのである。税収が増えても、それを上回る歳出増で借金は増えるばかりである。
 一刻も早くやらなければならないのは、歳出構造の抜本的な見直しである。歳出の中で最も象徴的なものが公共事業である。公共事業を決して否定するものではないが、政官業のもたれあい構造の中で、膨大な数の事業が見直されないまま継続している上に、新たな事業が次から次へと生まれる、「走り出したら止まらない公共事業」の仕組みを根本から改革するしかない。
その具体的手段が地方分権だ。国の行う公共事業を極力縮小するとともに、事業単位の補助金制度を廃止し、使途を地方に任せる「一括交付制度」にすることで、公共事業費は削減できるし、効率的な社会資本整備も可能になる。
 また、大問題になった政府機密費も、全く必要ないと言うつもりはないが、濫用支出は容認できない。外遊時の餞別や内部の酒食への支出を禁止し、外遊時の土産物代や旅費の差額は別の明確な費目で処理することとし、機密費自体の使途は、国民の安全や国の重大な利害にかかわる情報収集に限定すれば大幅に削減できる。
 いずれにしても、政治がリーダーシップを持って、財政構造改革ならびに経済構造改革を断行できるかどうかにかかっている。しかしながら、既得権益を守ることに汲々として、「表紙」だけを代えてその場しのぎをしようとしている今の与党にはできないだろう。結局のところ、政権交代という「政治構造改革」によって政治の復権を図るしかない。

日刊自動車新聞「直さんの永田町Wクリック」
(3月3日掲載)