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不信任案否決と参院選
11月21日未明にまでずれ込んだ森内閣不信任決議案の採決結果は、ご承知のとおりである。私も、最終的には自民党内の主導権を巡る抗争に終わるのではないかと思いつつも、微妙な票読みの中で、可決への一縷の望みも抱いていた。可決された場合、その後の政局の行方は不透明ではあったが、政権交代や政界再編も視野に入ってくる可能性もあったのである。
国会での不信任案は否決されたが、最近のマスコミ各社の世論調査では、森内閣の支持率は、軒並み20%を切り、不支持率は70%を超えている。国民は、圧倒的な大差で不信任案を可決しているのである。また、マーケットも、森首相の続投によって、経済構造改革は進まず、非効率な歳出により財政赤字の肥大化が続くとの失望感が強まり、株・円・長期金利とも下がっている。マーケットも不信任を突きつけたのである。国会と国民の意思との甚だしい乖離がはっきりした。
森首相は、不信任決議案否決後、国会答弁で「不信任決議案提出を十分謙虚に受け止める」と述べているが、真剣に受け止めているのか疑問である。国民は、将来不安を打開する政策の提示と迅速な遂行を求めているのに、森首相はこれまで指導力も発揮せず、目立った成果もあげていない。景気優先を大義名分にした経済・財政の構造改革の先送り、一連の失言、外交的不手際、スポーツ観戦や料亭通い、在庫一掃と批評された大臣が引き起こした捜査情報漏洩問題や政治資金疑惑、そして参院選挙制度のごり押しと、国民の不信を募らせている。
また、今回の不信任決議案騒動の前後で、経済対策のためと称する補正予算を十分な審議もせず成立させたことも大問題といえる。経済対策のための補正予算は、バブル崩壊後、平成8、9年度を除いて毎年編成されており常態化している。
しかし、期待したほど景気は回復していない。今回も情報技術(IT)推進に名を借りた従来型のバラマキ政策の域を出ていない。これらを、約2兆円の国債を発行してやろうというわけだ。予算の使い道や対策の方向が間違っているのは明らかである。
規制緩和をはじめとした経済構造改革を推し進めると同時に、公共事業のあり方、国と地方の関係の見直し、社会保障制度や税制の改革も同時に進めなければならない。これができなければ、日本の未来はないのである。このことは自民党議員も程度の差こそあれ誰もが感じている。しかし、「変える」ことで、自分の議席や政権を失うのではないかとの強迫観念からできないのだ。
不信任決議案否決という結果は、野党にとっては、何のダメージもない。一方で、「自民党を変える、政治を変える」と決起した加藤元幹事長を、力でねじ伏せた自民党の体質に、国民はこの上ない不快感を感じている。この意味で自民党が被ったダメージは大きい。来年夏の参院選で与党を過半数割れに追い込める可能性は相当高まった、と判断している。
日刊自動車新聞(12月2日掲載)
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