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置き忘れられた財政再建
1ヶ月前になるが、8月末に来年度予算の概算要求が締め切られ、予算編成作業がスタートした。要求総額は84兆8300億円で今年度の当初予算並であるが、最終的に膨らむ可能性もあり、「財政再建」への意気込みは全く感じられない。さらに、今臨時国会に補正予算も提出されるようである。3兆円台後半の補正予算を編成するとなると、1兆円を超える国債発行をせざるを得ない。故小渕前首相は、一貫して「二兎を追うものは一兎をも得ず」と繰り返し、危機的状況にある国家財政には目をつむり、「景気回復」を錦の御旗に、ひたすら借金をして旧来型の公共事業に巨額な費用を投入し続けた。その姿勢は森政権も全く変わっていない。今臨時国会の所信表明演説で森総理は、財政再建について、「準備を今から始めなければならない」と述べたが、その「準備」の具体的内容について質問されて、「心構えをすること」という答弁しかできないのである。
借金を増やせば、当然、歳出の中の借金返済額が増えていくわけで、その結果、社会保障関係費などに支出できる予算が制約を受け、将来に向けて国民生活を不安に陥れるだけである。先日の大蔵省の発表によれば、本年6月末時点での国の借金つまり国債や借入金等の総額が、ついに500兆円を超えた。400兆円台に乗ったのが98年6月末であり、わずか2年で約100兆円も増えたことになる。借金の代表格である国債について見てみると、国債発行は、平成7年度には、21.2兆円であったものが、5年後の今年度予算では、32.6兆円にも膨らんでいる。借金返済を見ると、歳出に占める借金返済の比率は、平成7年度に、18.6%であったものが、わずか5年後の今年度には、25.8%と1/4を超えてしまっているのである。
それでは、景気回復すれば、税収が増えて財政赤字は解消の方向に向かうのか。答えはNOである。大蔵省が試算した「財政の中期展望」によれば、今後の名目経済成長率を3.5%と仮定しても、平成15年度の税収は、52.6兆円で、平成12年度に対し約4兆円程度の増収になるだけである。一方、平成15年度の歳出は、現行の施策を前提にすると90.8兆円となり、平成12年度に対し約6兆円も増える。つまり、景気回復による増収分より歳出増が上回ることになり、借金返済どころか、借金を今年度より約2兆円増やさないと財政運営できないと言うのである。
このままでは、弱い経済構造を温存したまま財政赤字が雪だるま式に増え、将来世代に、不可能とも言える借金返済を押し付けるだけである。一刻も早く、経済の構造改革と国・地方の公的部門の思い切った再編も含めた効率化に取り組むべきである。
日刊自動車新聞(10月7日掲載)
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